「副業を始めたけれど、確定申告のやり方が結局よく分からない」——副業1年目は誰でもここでつまずきます。この記事では、確定申告のやり方を「いつ・何を・どの順番でやればいいか」一通りつかむために必要な情報を整理します。
- 「20万円ルール」の実際(売上ではなく所得・住民税は別)
- 報酬が雑所得・事業所得のどちらに区分されるかの考え方
- 経費にできるものの考え方と家事按分の基本
- 初年度から集めるべき必要書類
- 確定申告の具体的な流れ(5ステップ)
本記事は一般に公開されている情報および筆者(ORACLE MASTER Gold / Java Gold 保有・ITエンジニア歴10年以上)が一般的傾向として整理した情報提供であり、税務に関する個別の助言ではありません。確定申告・住民税・社会保険・経費・所得区分の取り扱いは、年度の制度改正や個人の状況によって異なります。最新かつ正確な情報は国税庁の公式情報でご確認いただき、確定申告の要否・経費・控除・所得区分など具体的な判断は、最終的に必ず税務署または税理士にご確認ください。本記事の数字・制度は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。
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そもそも副業で確定申告は必要?(20万円ルールの実際)
副業の確定申告が必要かどうかは、「20万円ルール」の正確な理解から始まります。
よく耳にする「20万円ルール」は、給与を1か所から受けている会社員で、給与以外の所得(副業の所得など)の合計が年間20万円以下の場合、一定の条件のもとで所得税の確定申告を省略できるという制度上の取り扱いを指します。ただし、初年度に誤解しやすいポイントが2つあります。
ポイント1:「売上20万円」ではなく「所得20万円」
20万円の基準は、副業で受け取った報酬の総額(売上)ではなく、そこから経費を引いた「所得」で判定されるのが一般的な考え方です。売上だけ見て「20万円を超えたから申告」と早合点しないようにしましょう。
ポイント2:所得税が不要でも「住民税の申告」は別に必要なことがある
所得税の確定申告が20万円ルールで省略できる場合でも、住民税については別途申告が必要になるケースがあるとされています。住民税には所得税のような「20万円以下は申告不要」という仕組みが当てはまらないことがあるためです。
「副業20万円以下だから何もしなくていい」と単純化するのは危険で、お住まいの自治体の取り扱いを確認する必要があります。
20万円ルールは「所得税の確定申告」に関する取り扱いであり、住民税は別の論点です。また、医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告をする場合は、20万円以下でも副業所得を含めて申告することになるなど、例外もあります。最終的な要否は、国税庁の公式情報とお住まいの自治体(住民税)の案内でご確認ください。
副業を始めた初年度は、まず「自分は申告が必要なのか・住民税はどうなるのか」を、上記2点を踏まえて自分の状況に当てはめて確認するところからスタートします。
副業の報酬はどの所得になる?(雑所得・事業所得)
確定申告が必要となった場合、副業の報酬をどの「所得区分」で扱うかが次の論点です。
エンジニアの副業(受託開発・スポット案件・技術記事の執筆など)の報酬は、一般に次のいずれかで扱われることが多いとされています。
| 所得区分 | ざっくりの位置づけ | エンジニア副業での例(一般論) |
|---|---|---|
| 雑所得 | 事業とまではいえない規模・継続性の副収入 | 単発・小規模な受託、たまに受ける案件 |
| 事業所得 | 反復・継続・独立して事業として行っている収入 | 継続的・相当規模で副業を行っている場合 |
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雑所得と事業所得のどちらに当たるかは、収入の規模・継続性・事業としての実態などを総合的に見て判断されるとされ、金額だけで機械的に決まるものではありません。事業所得として認められる場合は青色申告などの選択肢が出てくる一方、副業を始めたばかりの段階では雑所得として扱うケースも少なくない、という整理が一般的です。なお青色申告は事前の届出(提出期限あり)が必要とされるため、検討するなら「申告期になってから」では間に合わないことがあります。要件と期限は早めに国税庁・税理士で確認しておくとよいでしょう(具体的な期日は年度で変わりうるため断定はしません)。
雑所得か事業所得かの判定、青色申告の選択(事前の届出が必要)などは、個人の事業実態によって扱いが変わり、税務上の影響も小さくありません。自分のケースがどちらに当たるか、青色申告を選ぶべきかは、断定で判断せず、国税庁の公式情報を確認のうえ、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
初年度は、まず「自分の副業は雑所得・事業所得のどちらの整理になりそうか」を把握しておくと、このあとの経費の考え方や帳簿づけの粒度をイメージしやすくなります。
経費にできるもの・できないもの(エンジニアの実例)
確定申告では、副業の売上から「その副業のためにかかった費用(経費)」を差し引いて所得を計算します。
経費が適切に計上できれば、課税の対象となる所得を正しく圧縮できます。エンジニアの副業では、一般に次のようなものが「副業に関連する費用」として話題に上がります(あくまで一般論で、計上できるかは個別の状況によります)。
- PC・モニター・キーボードなどの機材費
- 開発に使うソフトウェア・SaaSの利用料、サーバー・ドメイン代
- 技術書・オンライン講座などの学習費
- 副業に使う通信費(インターネット回線など)
- 自宅作業スペースの家賃・光熱費の一部(家事按分)
ここで重要なのが、「副業のために使った分」と「プライベートの分」を分ける(家事按分する)という考え方です。たとえば自宅の回線や家賃は、生活全体でも使うものなので、副業に使った割合を合理的に見積もって、その分だけを経費とするのが一般的な扱いとされています。全額をそのまま経費にできるわけではない点に注意が必要です。
| よく話題になる費用 | 按分が必要なケース例 | 注意点 |
|---|---|---|
| PC・機材 | 私用兼用の場合は副業使用割合で按分 | 全額計上は原則NG |
| サーバー・ドメイン代 | 副業専用なら全額が議論の対象に | 個人の使用実態で変わる |
| 技術書・オンライン講座 | 副業との関連性が問われる | 「業務の必要性」の説明が要る |
| 自宅家賃・光熱費・通信費 | 作業時間・面積等で按分 | 合理的な根拠メモが必要 |
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「これは経費にできます」と言い切ることはできません。何が経費として認められるか、家事按分の割合をどう見積もるかは、事業との関連性や使用実態によって判断が分かれ、個人の状況で変わります。実際の可否・按分の考え方は、国税庁の公式情報を確認のうえ、判断に迷うものは税理士に確認してください。
経費で何より大事なのは、「副業に関連する支出だと後から説明できるように、証拠(領収書・明細)を残しておく」ことです。これは制度の解釈以前の、初年度から必ずやっておくべき習慣です(次のセクション)。
初年度に集めておく必要書類
確定申告そのものは年明け(一般に2〜3月)ですが、準備は副業を始めた時点から始まっています。初年度に集めておくべき・残しておくべきものを整理します。
収入に関するもの
- 報酬の記録:いつ・どこから・いくら受け取ったか(案件ごと)
- 支払調書(取引先から発行される場合):報酬と源泉徴収額が記載されたもの。発行は義務ではないため、来ない取引先もある前提で、自分でも記録を残す
- 本業の源泉徴収票:会社員の場合、確定申告で給与所得と合算するために使う
経費に関するもの
- 領収書・レシート・クレジットカードの明細:経費にしうる支出の証拠。日付・金額・内容がわかる形で保管
- 家事按分の根拠メモ:通信費・家賃などを按分した場合、どういう割合・考え方で分けたかのメモ
その他
- マイナンバーがわかるもの・本人確認書類
- 還付を受ける場合の振込先口座情報
ポイントは、確定申告の直前にまとめて集めようとすると必ず漏れるということです。報酬が入ったらその場で記録する、経費を使ったらレシートをためる場所を1つ決めておく——この習慣を初年度の早い段階で作っておくと、申告期の負担が大きく変わります。
確定申告のやり方・申告の流れ(5ステップ)
確定申告のやり方は、5つのステップで整理できます。
はじめてでも全体像が見えていれば動きやすくなります。
ステップ1:1年分の収入・経費を集計する
副業の売上と経費を1年分(一般に1月1日〜12月31日)集計します。日頃から記録していれば、ここで会計ソフトや表計算に転記するだけで済みます。
ステップ2:所得・税額を計算する
売上から経費を引いて所得を出し、各種控除を反映して税額を計算します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や後述の会計ソフトを使うと、入力に沿って自動で計算してくれます。
ステップ3:確定申告書を作成する
本業の源泉徴収票(給与所得)と副業の所得を合わせて申告書を作成します。住民税の徴収方法(特別徴収=給与天引き/普通徴収=自分で納付)の選択欄もこの段階で出てきます(副業を会社に知られたくない場合に関係する論点ですが、自治体・勤務先の運用によるため、確実な方法として断定はできません)。会社バレの仕組みと就業規則の確認は副業が会社にバレる原因と対策(就業規則・住民税)に譲り、本記事では深追いしません。
ステップ4:提出する
提出方法は主に e-Tax(オンライン)/郵送/税務署へ持参 です。e-Taxはマイナンバーカードなどがあれば自宅から完結できます。
ステップ5:納税または還付を受ける
計算結果に応じて、所得税を納付するか、払いすぎていた場合は還付を受けます。納付には期限があるため、申告と納税の期日を必ず確認します。
確定申告の期間・納付期限・提出方法・各種様式は年度によって変わることがあります。必ずその年の国税庁の公式案内で最新の日程・手順を確認してください。
会計ソフトは使うべきか(freee・マネフォ比較へ)
取引がある程度の件数になるなら、会計ソフトを使ったほうが初年度の負担はかなり下がるというのが一般的な見方です。
会計ソフト(クラウド型)を使う主なメリットは次の通りです。
- 銀行口座・クレジットカードと連携して、取引を自動で取り込める
- 勘定科目の振り分けや集計を補助してくれる
- 確定申告書の形式に沿って出力できる
freee・マネーフォワード・弥生といった主要ソフトの機能・料金・向き不向きの比較は、副業エンジニアの確定申告ソフト比較で観点ごとに整理しています。
初年度にやりがちな失敗
はじめての確定申告でつまずきやすいポイントを、先回りで挙げておきます。知っているだけで回避できるものばかりです。
売上だけ見て「20万円以下だから申告不要」と判断する
前述の通り、20万円の基準は経費を引いた「所得」で、しかも所得税の話です。住民税の申告が別途必要なケースを見落とすと、あとで指摘される可能性があります。
領収書をためずに申告直前で慌てる
経費の証拠は日々ためておかないと、年明けに再現できません。経費にしうる支出の証拠を1か所に集める仕組みを、初年度の早い段階で作っておきましょう。
本業の源泉徴収票を準備し忘れる
会社員の副業の場合、給与所得と合算して申告するため本業の源泉徴収票が必要です。年末〜年明けに受け取ったら、なくさないよう保管します。
期限を直前まで確認していない
申告期間・納付期限は年度で変わることがあります。その年の国税庁の案内で必ず日程を確認し、ギリギリに動かないようにします。
「経費にできる/できない」を自己判断で断定する
ネット上の「これは経費にできる」という断定情報を鵜呑みにせず、迷うものは国税庁の情報を確認し、必要なら税理士に相談しましょう。判断は個人の状況で変わります。
よくある質問(FAQ)
副業の収入はいくらから確定申告が必要ですか?
売上が20万円を超えても、経費を引いて20万円以下なら申告不要ですか?
PCや技術書は経費にできますか?
会社に副業を知られたくないのですが、確定申告でバレますか?
会計ソフトは初年度から必要ですか?
雑所得と事業所得、どちらで申告すればいいですか?
確定申告に必要な書類は何ですか?
確定申告の期限はいつまでですか?
副業の経費はどこまで認められますか?
まとめ
エンジニアが副業初年度の確定申告でやることを整理します。
- 20万円ルールは「所得(経費を引いた後)」かつ「所得税」の話。住民税は別の論点で、20万円以下でも申告が必要なケースがある
- 副業の報酬は雑所得・事業所得のいずれかで扱われることが多く、規模・継続性などで判断が変わる
- 経費は「副業のために使った分」を家事按分しつつ計上。証拠(領収書・明細)を初年度から残す習慣が最重要
- 必要書類(報酬の記録・本業の源泉徴収票・領収書・マイナンバー等)は直前にまとめず日々ためる
- 申告の流れは 集計→計算→申告書作成→提出→納税/還付 の5ステップ。日程は毎年公式で確認
- 取引が増えそうなら会計ソフトで自動連携・集計を使うと初年度の負担が下がりやすい
確定申告は「直前にまとめてやろうとする」と必ず大変になります。逆に、報酬と経費を日々記録する習慣さえ初年度に作っておけば、申告期は転記と確認だけで済みます。まずは「報酬が入ったら記録する」「レシートを1か所にためる」——この2つから始めてみてください。
次のステップとして、会計ソフト選び(freee・マネーフォワード等)の比較は副業エンジニアの確定申告ソフト比較、在職中に副業を始める際の就業規則・住民税まわりの注意点は副業が会社にバレる原因と対策(就業規則・住民税)にまとめています。また、副業の収入そのものを増やす観点では、案件の単価相場はエンジニア副業の単価相場、フリーランスとして独立する道筋はエンジニアのフリーランスの始め方で解説しています。あわせて読んでみてください。
免責:本記事は筆者の見立ておよび一般に公開されている情報にもとづく一般的な情報提供であり、税務・労務に関する個別の助言ではありません。確定申告・住民税・社会保険・経費・所得区分の取り扱いは、年度の制度改正や個人の状況によって異なります。本記事の制度・数字は2026年6月時点の情報です。最新かつ正確な情報は国税庁・お住まいの自治体の一次情報でご確認いただき、具体的な判断は税理士など専門家にご相談ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いません。
